公開日:2020.06.24
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コロナ禍で考える”アプリでの顧客接点”の持ち方

コロナ禍で考える”アプリでの顧客接点”の持ち方

飲食業界全体がコロナ禍による影響を受ける中、売上を落とさなかった企業が存在します。この要因として挙げられているのが、外出自粛でアプリの利用が増え、そこから増加した顧客接点をしっかりと売上につなげられたこと。
今回は、事例から得られる3つの共通項を分析し、その疑問の答えを紐解いていきます。

コロナ禍でも売上を落とさなかった企業の特徴

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として人々に外出自粛が求められ、多くの飲食店で客足が激減しました。自治体からの自粛要請に従った営業時間の短縮や休業もあり、飲食業界がかつてないほどのダメージを受けていることは周知の通りです。

一方で、このような状況下でも堅調な売上を上げている企業も存在します。この背景にあるのが、家族でまとまって家に居ることが増え、「デリバリー」や「テイクアウト」の需要が拡大したこと。加えて、その注文に至るまでの導線として、アプリがうまく機能していることが要因と考えられます。例えば、在宅勤務等で手にしやすくなったスマートフォンにアプリをダウンロードしてもらい、閲覧されやすいコンテンツを配信すれば、新たな顧客接点が生まれることは想像に難くありません。このような定期配信によって商品サービスが自然と目に止まる機会を増やし、多くの注文を受けられたことが成功のポイントといえそうです。

今使われているアプリの特徴とは

昨今、厳しい市況も成果を挙げる企業の多くが、スマートフォンアプリを効果的に使っています。ただし、様々なジャンルのアプリが乱立するいま、アプリをつくるだけでは直接的な売上拡大にはつながりません。

アプリを介した企業と顧客とのコミュニケーションは初回のダウンロードから始まります。ダウンロードによって顧客接点をつくった上で、いかに自社のアプリを継続的に使ってもらって、定着率(リテンション)を向上させるかという視点が求められます。

このリテンション向上を検討する際には「プッシュ通知」といった施策が思い浮かぶかと思います。しかし、これはあくまでも手段の一つであって、必ずリテンション向上に結びつくとは限りません。タイミングや内容を間違った形で通知を送り続ければ、敏感なユーザーは即座に通知拒否という選択肢を取るでしょう。

本質的な部分は、ユーザーが何を求めているか分析し、その結果に基づいた施策を打つことにあります。また、その際には、ユーザーが「ポジティブな行動」を起こすためのきっかけを増やし、「ネガティブな行動」につながる要因を減らすことを基本に考えるべきでしょう。アプリを効果的に使っている企業ほど、リアルタイムでユーザーの行動を分析し、それを施策として実装している点も見逃せません。

顧客接点としてのアプリを最大限に有効活用した企業事例

では、「アプリの定着率」に関して、成功した企業事例をご紹介していきます。

音楽に合わせて15秒程度の動画を撮影・加工し、ハッシュタグなどを付けて共有するショートムービーアプリ「TikTok」。若者を中心に多くの日本人の心を掴み、毎日400万人以上のユーザーに利用されています。

投稿するユーザーには、今までの動画サービスになかった手軽さがヒット。また閲覧するユーザーには、AIを通じて好みに合わせたコンテンツが次々と届くので、飽きることなく続けられるようになっています。AIは、「いいね」だけではなく、閲覧履歴やタップ、スワイプなど、日々の活動を全てログとして蓄積して活用します。これはつまり、ユーザーがTikTokを使用すればするほど、使いやすくなり、よって使われ続ける仕組みです。このようにアプリ内でデータ分析をして、常に改善を繰り返すことが爆発的なブームの鍵と言えるでしょう。

分析時の主な視点としては、次のようなポイントが挙げられます。

  • 各ユーザーは、いつ、どこからアクセスしているのか?
  • どのようなコンテンツを閲覧しているのか?
  • どういったUIに反応しやすいのか?
  • どんなアクションに反響があるのか?
  • 定着率を上げるトリガーはどこにあるのか?
  • 課金しているユーザーの共通点はあるのか?

今回のコロナ禍においても業績を落としていない業界として、ファーストフードチェーンが挙げられますが、その要因として、リアル店舗での接点が限定的になった状況下でアプリをうまく活用できている、という点があるのではないでしょうか。

刻一刻とユーザーの生活状況が変化する中、アプリからのプッシュ通知においてもそういった変化を捕まえて、ユーザーの状況に応じて柔軟にアプローチできるかが重要です。

また、あるプッシュ通知の閲覧状況の分析結果から、「在宅勤務が広まりを見せる中、日中に訴求してもユーザーはその場でスマホを見る」という示唆が得られました。これらの状況を踏まえてプッシュ通知を実施したところ、いつもより多くのユーザーがおしらせ通知にアクセス。従来通りであれば、仕事終わりの17時以降にプッシュ通知をしていたことからも、ユーザーの環境変化に応じて早期に取り組むことの重要性がわかります。

この他、同じくアプリを接点としたコロナ禍でのファーストフードチェーンの事例を見ていきたいと思います。

飲食業界が軒並み厳しい状況になる中、大手ファーストチェーンが業績を落とすどころか前年実績を上回った背景として、店舗受け取りや宅配といった、店舗での飲食にとどまらない、多様な利用方法をユーザーに提示できたからではないでしょうか。

それらの行動を促進できた要因として、モバイルアプリの存在は見逃せません。リアル店舗へ足を運ぶことが少なくなったユーザーに対して、店頭で訴求しても全く効果はありませんが、自宅にいても、モバイルアプリでそれらの情報を知り、そこからの注文導線があることにより、自然と注文という行動に行き着くことは想像に難くありません。

平時においても、店舗以外の接点として有用なモバイルアプリではありますが、今回のような特殊な状況下において、いかにユーザーとつながる接点を複数持つことができるかや、変化する状況に応じて、柔軟に対応できる運用体制を持っていられるかは、事業の継続や成長において、大事な要因であることに気づかれた方も多いのではないかと思います。

アプリを活用して顧客接点を維持し、事業成長できた企業の共通項とは

アプリを活用して顧客接点を維持し、事業への良い影響を与えられた企業は、厳しい市況においても多くのユーザー獲得と売上向上が実現しています。それでは、アプリ活用の上でどのような共通点があったのか、3つのポイントで整理しましょう。

1つ目は、「プロダクト視点」ではなく「マーケティング視点」で運用することです。「何をつくるか」 からスタートするのではなく、「ユーザーが何を求めているのか」その発見から始めます。TikTokの事例を見ても、今どのようなアプリがユーザーに求められているのか、調査検討した結果がダイレクトに効果として表れています。特に、産業構造の変化や、ライフスタイルの変化を 「ファクトベース」 で捉え、実態に基づいた企画で行うことが重要です。

2つ目は、「いかに優れた顧客体験を提供するか」を考え、アプリを設計することです。どのような顧客が、いつ、どのようなサービスを必要としているのかを明らかにし、それらをデータドリブン(データ基点)で設計・実行していくことが重要です。某大手飲食チェーン企業の事例を見ると、リアルタイムな情報を基点に 「いま顧客が必要としている情報」を逃さずに、それに応えるための戦略や施策を打っていることがわかります。

3つ目は、アプリをリリース後に絶えず改善を行い、柔軟な運用をすることです。リリース後のアプリには必ず、新端末や新OSへの対応 が求められます。このような市場の動きや、競合他社の動き、コロナ禍のような特殊な状況下であっても、絶えず変化する顧客の行動パターンやニーズを捉え、リリース後の体制づくりを行っておくことが非常に重要です。

ゆめみが提供する使われるアプリの作り方

上記のような3つの共通項を実現するために、ゆめみでは、「上流工程」の企画設計から「下流工程」を一気通貫で実現できる体制をご用意しています。開発・制作だけに特化せず、マーケティング・ IT の双方の視点から、解決すべき課題を抽出。そして、仕組みを実現し、継続的改修を支援してお客様とともに事業を成長させることが可能です。

また、ゆめみが提供するアプリ開発は、「マーケティング×システム設計」 という2つの視点から実施します。マーケティングの視点が求められる戦略立案の段階では、過去に取得したデータなどを元に、ターゲットとする顧客像のあぶり出しや、ニーズの仮説立てを行います。ここで得られた示唆を 「顧客体験」 に落とし込むことが可能です。さらに、アプリリリース後の想定や対策を見込んでいるため、継続的な改善ができます。

顧客との接点づくりにおいて、「アプリをつくる」ことは手段の1つです。ゆめみではこの前提を踏まえたうえで「お客様のビジネスの成長」 をゴールに据えたアプリづくりを強みとしています。 販売活動を促進できるアプリの運用方法についてご検討の企業様は、まずはアプリの上流工程にあたる経営戦略・ビジネス方針から検討してみてはいかがでしょうか。