公開日:2022.11.15
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アプリのKPIの設定方法を解説!成長指標の測りかた

アプリのKPIの設定方法を解説!成長指標の測りかた

「ユーザーとの継続的な接点をつくりたい」と考えたとき、アプリサービスの活用を検討するマーケターは少なくないはず。しかし、アプリ戦国時代と呼ばれる昨今、アプリ自体の成長抜きにサービスの存続は図れません。では、ユーザーとの関係性を向上させ、市場で生き残るためにどのような取り組みが有効なのでしょうか?今回はアプリの成長を測るKPIの設定方法を解説します。

単にMAU、DL数を追うだけでいいの?正しいKPIの設定とは?

アプリのKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)として何を、どの程度の水準を目標として設定すべきか……。アプリマーケティングに携わる方であれば、誰もが一度は直面するテーマでしょう。

例えば、「ダウンロード数」をKPIとした場合、アプリの認知拡大を目指すうえでは適切かもしれません。しかし、単純にDL数を追ったとしても、実際に使われているかどうかはわかりません。こうした背景を踏まえて、多くのマーケターは「アクティブユーザー」にまつわる指標を注視しています。

月間アクティブユーザーを意味する「MAU」は、月ごとにログイン、もしくは月ごとに「アプリを利用したユーザー数」を測る指標です。継続的にアプリを利用しているユーザーほど、何らかのサービスに課金をしたり、ECや実店舗での購買に繋がったり、他者へアプリを紹介したりする確率が上がる傾向にあるため、KPIとして活用しやすいといえます。

では、MAUだけ見ていれば良いかというと、必ずしもそうとは限りません。KPIはあくまでもゴールに至るまでの中間指標にあたるため、その前に考慮すべき観点が存在します。それが、「KPIの細分化」です。

MAUの場合、たとえば、年代といった会員属性ごとに分けたMAUを見ていくことが挙げられます。年代ごとにMAUを比較し、自社の想定するユーザーや、オフラインでのユーザーとの差異がないか、どういった特徴があるかなどを把握した上で、どの年代を伸ばしていくかを検討します。

また、MAUを起動頻度ごとに分布させてみたときに、アプリの特性から考えて、適正かどうか、を見る方法もあります。
例えば、ニュースアプリの場合、日々利用することが一般的ではありますが、月に一回程度起動するユーザーが多く分布している場合には、対策を考えるべき、といった具合です。

その他、店舗サービスを補完するアプリを例に、DL数をKPIと設定すると、

  • 店舗でDLしたのか/自宅でDLしたのか
  • 広告経由のDLなのか/オーガニックでのDLなのか

など、細分化したKPIを設定することが重要です。

ここまで、KPIの細分化について説明してきましたが、やみくもに細かくすればよい、というものでもありません。自社の経営目標から逆算して、どの指標を伸ばしていくことが重要なのか、優先順位を決めていくことが必要になります。
追う数字が増えれば増えるほど、管理が大変になり、結果的に伸ばすべき数字が見えづらくなってしまうことになりかねないからです。

あくまでも、自社の事業に重要な指標は何か、伸ばすべきアプリユーザーの属性は何かを把握した上で、細分化したKPIを設定し、追いかけていくことが重要です。

経営戦略を加味したKGIを設定する

前述の内容は目新しいものではなく、基本的なことかもしれません。しかし、多くの企業は「KPIを達成すること」に気を取られるあまり、「このKPIは本当に適切なのか?」「そのKPIは、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)の達成に繋がるといえるのか?」を突き詰めて議論できていないのではないでしょうか。

特に、「アプリを開発すること」に重きを置いてパワーを割いた結果、それ自体が目的となってしまうケースも多いようです。本来、アプリサービスの開発・運用は一手段であり、あくまでも経営・事業の目標達成に向けて行われるものであるはず。だからこそ、まずは経営・事業戦略を加味したKGIを設定することが大切です。

KGIからブレイクダウンしたKPIを設定し施策を考案することが重要

続いて、「KGIの達成につながるKPIの選定」についてです。KGIは、一定期間におけるビジネスゴールを意味するものであるため、「売上」を設定するケースが多いといえます。

たとえば、今期のKGIとして「売上高1億円」を設定したとしましょう。その上で、そのゴールにたどり着くための鍵になる「KSF(Key Success Factor:重要成功要因)」を特定します。

最適なKSFを設定するためには、KGIを要素分解した中から「KGIに影響を及ぼす」、かつ「自社でコントロールが可能」な指標を選びます。

アプリ自体で収益化を図るようなサービスの場合には、「課金ユーザー数」「平均課金単価」といった具合です。リアル店舗などの基幹事業があり、全体の顧客体験をアプリが補完するような場合には、アプリからの送客効果や、それによる店舗側の「売上数」、非アプリDLユーザーに比べての「平均顧客単価」などが挙げられます。

この中からKGI達成に向けて、どのKSFを選び、そこにどの程度の目標値(KPI)を設けるか、検討を進めます。このように、KGIやKPIはそれぞれ独立した指標ではなく、経営・事業戦略に基づいてブレイクダウンして決めていくものとされています。

また、全体のKGIを分解し、アプリとして担うべき役割を決めてしまう方法もあります。ビジネスゴール、売上目標のうち、アプリとして担うべき指標を決めてしまうということです。

そこから逆算して、DL数、MAU数を決めることによって、アプリ担当者が負うべき目標値が明らかになり、施策を打ちやすくなります。

すべての施策は、追うべきKPI、KGIの達成のために、実施されることが望ましいと言えるでしょう。

KGIに繋げるためにおさえるべき3つのポイント

1つ目は、「①課題発見」です。

ここでいう課題とは、目標達成に向けてクリアしなければならないハードルを意味します。例えば、わかりやすい例で言えば、営業部署の場合だと、「商談件数を増やす」「提案回数を増やす」といった課題が明確になって初めて、現場のアクションを促すKPIが設定できます。逆に、「提案書の枚数を増やす」というように、その背景に何の課題があるのかわからないKPIの場合には、KGIの達成につなげることは難しいでしょう。

2つ目は、「②仕組み化」です。

KPIは月に一度まとめて振り返るようなものではなく、毎週、もしくは毎日のように達成率を確認するものです。KPIの目標に対してどの程度足りないのか、その足りない部分を埋めるためにどんな行動を起こすべきか、短いサイクルで考えることが大切です。そのためにも、手間をかけずに簡単にKPIを確認し、次のアクションに取り掛かれる仕組みづくりが必要です。

3つ目は、「③改善」です。

市場や競合が日々変化を続ける中では、一度最適なKPIを設定しても、それが未来永劫機能し続けるとは限りません。例えば、ユーザー拡大によって売上拡大を目指すケースもあれば、購買単価を上げることでKGI達成を目指すケースもあります。このように、決まった正解がないからこそ、定期的に改善を行い、次のフェーズに向けた施策の再検討を行う必要があるのです。

上記の例と同様に、アプリサービスを活用したビジネスのゴールを目指す上でも、適切なKGI・KPIの設定は必須です。
それに加えて、今の時代はビジネスの成長を意識した顧客体験の設計や、継続的改善の取り組みが求められます。スマートフォンが生活インフラに近い存在となっている昨今、経営戦略とアプリサービス開発・運用とを密接に結びつけていなかければ、生存競争で勝ち抜くことはできないといえます。

日々、変化するユーザーのニーズや、ビジネス側の要望に対して、アプリをリリースして終わりにせず、機動的に改修、改善を行なっていくことが非常に重要になっていきます。

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